複製品だからこそ活用できる(嵯峨薬師寺様の取り組み)

「薬師堂縁起」(嵯峨薬師寺様所蔵)を複製

嵯峨薬師寺(通常非公開)は、清涼寺境内にある嵯峨天皇の勅願寺です。平安時代初期の弘仁9年(819年)、疫病の流行を憂慮した嵯峨天皇は、弘法大師(空海)に薬師如来像を刻ませ開眼供養を営まれたところ、たちまち霊験が顕れて万民は病の苦しみから救われたと言われています。その由来が、薬師堂縁起(巻物2巻)に描かれています。その薬師堂縁起の絵画部分を1巻にして複製品を作製しました。

薬師堂縁起(複製)の巻頭部分

薬師堂縁起をより身近なものに

修復完了を契機に複製品を作製

原本の薬師堂縁起は絵巻物という体裁のため慎重な取り扱いが必要で、檀家の皆さんに手軽に披露することができませんでした。今回、原本の修復完了を契機に複製品を作製することで、原本は大切に保管し、複製品を檀家の皆さんへ手軽にお披露目することが出来るようになり、薬師堂縁起がより身近なものになりました。

複製品の活用

今回の複製品は、薬師堂縁起にある絵画の部分のみを1巻にして複製しています。1巻にすることによって取り扱いが安易になり、また、複製であるからこそ手に取って観ていただくことが可能になりました。今後、寺内に展示して、いつでも薬師堂縁起を観ていただけるようにすることも検討されています。

私たちは、厳重に管理されている本物を守りながら、大切な日本の文化を継承することを使命に活動しています。このような嵯峨薬師寺様の取り組みにご協力できたことを大変嬉しく思います。

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