智積院宝物館 「桜図」「楓図」(国宝)の複製に協力

智積院様所蔵 「桜図」「楓図」(国宝)を複製

真言宗智山派総本山智積院宝物館では、長谷川等伯一門による国宝障壁画が常時公開されています。安土桃山時代を代表する絵師の長谷川等伯、久蔵親子が描いたとされる「楓図」「桜図」(国宝)の複製作製に協力いたしました。
智積院の金碧障壁画は、時代を代表する華やかな絵画で、金地の上には巨木が、その周辺には季節の草花、水辺など四季折々の美しさが色鮮やかに画面いっぱいに描かれています。

桜図は、画面全体に咲き誇る八重桜は胡粉の盛り上げにより立体的に表現され繊細な表現が目を引きます。桜の他にも躑躅(つつじ)や蒲公英(たんぽぽ)、菖蒲(あやめ)など春の草花が随所に見られ、長谷川等伯の息子である久蔵の作とされています。
楓図は、金地にまばゆいばかりの多彩な色を用い、色づいた楓や太い幹の根本には萩や白菊など秋草が生い茂り、深まりつつある秋の様相が描かれています。長谷川等伯の筆と考えられています。

「楓図」(国宝)複製
「楓図」(国宝)複製 (拡大)

障壁画を後世に伝えるために

智積院様の思い

現在、私達が智積院宝物館で見ることができる障壁画は、当初描かれたものの一部です。襖や屏風、違い棚などの形状に仕立て直されていますが、後世に残してゆく必要があります。智積院宝物館では、障壁画を後世に伝えるために、現存する障壁画は良好な状態で保存管理するとともに、最新の技術で現状を撮影(デジタルデータ化)、画像編集、高精細印刷することで複製を作製し活用することにしました。

スキャニングの様子

最新技術と伝統的な技術が合わさった複製

本物に近い金地の色、草花の色彩や陰影などが表現された高精細電子画像を和紙へ印刷し、色校正を重ねることにより限りなく原本に近い色味に調整出力して、オリジナルと同様の障壁画に表装しました(表装:株式会社宇佐美松鶴堂)。智積院様は、この複製を展示に活用することで、本物はより良好な状態で保存し、障壁画をより身近に感じることができる機会が増えると考えておられます。

私たちは、本物を守りながら、大切な日本の文化を継承することを使命に活動しています。智積院宝物館の基本理念(「適切な環境下での収蔵・保存」「智積院に収蔵されている資料などの公開・展示」「学術研究や教化活動の発展支援のための調査・研究」)に基づく今回の活動にご協力できたことを大変嬉しく思います。

「桜図」の胡粉の盛り上げを立体的に表現(複製)

関係先

この記事を書いた人

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