貴重な文化財である能面の維持管理に複製品を活用
能面の複製品を作製
滋賀県東近江市には、室町時代までさかのぼる能面が数多く伝わっています。木地師発祥の地と伝えられるこの地域の木地師が、面打ちを手掛けるようになったためではないかとの説もあります。君ヶ畑町には、室町末期から江戸中期にかけての能面6面が残っており、それらを住民の皆さんが管理し、大切に保全されています。この度、「木地師のふるさと高松会」様からのご依頼で、その能面の複製作製に協力しました。
能面の複製品を展示
君ヶ畑の大皇器地祖神社(おおきみきぢそじんじゃ)に伝わるこの能面6面は、室町末期から江戸中期にかけての貴重な文化財であり、顎が分かれていない古い形式の珍しい能面も含まれています。この貴重な文化財である能面を維持管理するため複製品を作成し、「木地師のふるさと交流館」で常時展示されています。
能面の紹介
翁(白色尉 はくしきじょう)
冠型を表す。開眼して目の輪郭を山形に穿ち、二重まぶたとする。鼻孔を穿つ。開口し、上歯列二本を表す。顎髭の植毛痕を残す。胡粉地彩色で、冠型に墨彩、唇に朱彩を施す。キリ材製で、頭部から顎迄一材より彫出する。
三番叟(黒色尉 こくしきじょう)
開眼して目の輪郭を山形に穿ち、左目の下が台形状になっている。眉間から鼻にかけて斜めの皴線を刻む。全面を黒彩する。キリ材製で一材から彫出する。
父尉
冠型を表す。開眼して目の輪郭を杏仁形でやや吊り目に穿ち、二重まぶたとする。キリ材で一材彫出である。
延命冠者
冠型を表す。開眼して目の輪郭を山形に穿ち、二重まぶたとする。鼻孔を穿つ。開口し上歯列を表す。胡粉地彩色で、上歯列を墨彩するキリ材製で一材から彫出する。
翁(白色尉 はくしきじょう)
冠型を表す。 額から頰にかけて皴を刻む。開眼して目の輪郭を山形に穿ち、二重まぶたとする。胡粉地彩色で、冠型を墨彩する。唇は朱彩を施す。ヒノキ材製で、一材彫出する。
三番叟
冠型を表す。額から頰に懸けて皴を刻み、開眼して目の輪郭を山形に穿ち、二重まぶたとする。顎髭を植毛する。胡粉地彩色で全面を墨彩し、口髭眉・顎髭などを白色系彩色で毛筋描きする。唇朱彩。上下歯列白彩、裏面は透漆塗リ。ヒノキ材製で一材彫出する。